外回りを命じられました。滅多にないことです。
エルと一緒に歩いています。これもまた滅多にないことです。
僕の名はエリン。エルフサービスで研修中のメカニック候補です。うちはアーマー保守が専門で、新しいアーマーに替えたときは必ず立ち会うことになってるんです。研修生がどうして一人で立ち会うのかは僕にはよくわからないですけれど。
彼女は猫耳族のエル。エルファン・ミンクって長いから僕は勝手にエルと呼んでいます。冒険をはじめたばかりだそうで、たぶん僕と同期です。先月は、宿舎をいろいろとめちゃくちゃに壊してしまったようですけど、気にとめた様子は全くありません。その忘却力は見習いたいです。
「エル。もうすぐですよ」
「にゃっ」
少しドキッとします。この鳴き声のような返事さえなければ、普通に接することができるのですけれど……。
昼間の街は活気があります。真夏のような陽射しでも、建物があると少しは楽になります。エルには資金を渡しましたが、不安です。
「お金もらえたにゃ。いっぱい買うにゃ☆」
放っておくと何を買い始めるかわかりません。まともな買い物を実現するのも僕の仕事です。
今日はホーミングミサイルとタイガークローを揃えました。特にクローは新しい試みになります。エルがちゃんと使いこなしてくれるか心配です。
買い物が終わると、エルは再び旅に出ました。僕ができることは、もうほとんどありません。エリアスに導かれたのだから、エルはもう立派な≪翼≫です。
『――始まったようだ』
「先輩、僕は……彼女に賭けてみようと思います」
僕はエルを信じています。先輩がどう思っているかは、わからないですけれど、エルなら出来る気がするんです。
ただ一つだけ、気になることがあるとしたら――
『エリン君は帰還』
「わかっています」
エルフサービスが本当にエルのことを考えているのか、少しわからなくなってきたことです。……あ。この部分の日記、あとで消さなくちゃ……。
(プラクティス : クリア)
エルファンですにゃ。ひさしぶりに日記をつけるにゃ。
虎徹さんに誘われて、格闘を一緒に勉強することになったのです。ボークトさんと、スレイさんも一緒です。よろしくですにゃ♪
それから、また嬉しいことがあったにゃ。ツヴァイさんとシャンティさんに会えたのです。猫神様にお祈りしていたお陰にゃ。
(Lv2 シェルミット薬草園 : 失敗)
薬草園に行ってきました。魔物さんが事件をおこしたらしいのです。
……
魔物さんは強かったにゃ。でもエルファンたちがもう少し強かったので、なんとか退治できたのです。
マシュマロはおいしかったです。魔物さんはおいしくなかったです。にゃはっ!? 魔物さんは食べたりしていないですにゃ。本当にゃ。信じてにゃ。
(Lv2 シェルミット薬草園 : クリア)
今日、しろさんと再会しました。話を聞くと、ずっと氷漬けになっていたそうですにゃ。
氷がとけて自由になったしろさん。これからもよろしくですにゃ。
(Lv3 ブライス郊外 : クリア)
ごろごろの練習ですにゃ。
「ごろごろごろ…」
「....転がってる....可愛い....」 なでなで。
「ごろごろ〜」
ツヴァイさんがなでなでしてくれたのです。とってもとっても嬉しいです。
季節はずれの雪が降るブライス地方でも、ごろごろすると寒さを感じないですにゃ。エルファンのジャケットは寒さに強いのです。
(Lv3 ブライス郊外 : クリア)
「ええ…っと。またお手伝いをお願いしても良いかにゃ?」
シャンティさんにゃ。
「爪をのばしたエルファンでよければお手伝いするにゃ」
そうなのです。エルファンはもう、銃器を使っていないのです。そのかわり立派な爪を買ってもらったにゃ!
「もちろんお願いしたいけれど、いつの間に爪なんて使うようになったの…?」
「今月からですにゃ。お店に並んだので発売日に買ってきてもらったにゃ」
爪というのは、タイガークローのことです。
「発売日に…。エルファン、そんなに爪が好きなの?」
シャンティさん、それはないですにゃ〜
爪は、猫耳族の武器なのです。使わない方が珍しいですにゃ。
(Lv3 ブライス郊外 : クリア)
「寺院に行ってみるのです」
「……? とにかく護衛の件、よろしく頼むぞ」
「大丈夫でしょうか。先月は酷い目に遭いましたからね……」
調査団のひとです。エルファンたちについてきたのです。
にゃふふ……この人たちは、これから起こる悲劇なんて知らないのですにゃ。
「エルファン、今度は大丈夫?」
……もちろんですにゃ。
「ごろごろごろ…」
エルファンは動揺する調査団をなだめました。
恐怖心にとらわれた彼らを落ち着かせたにゃ。
「不安だ……」
「先輩、僕達生きて帰れるでしょうか……?」
(Lv4 エアルーン寺院 : クリア)