新しい戦法を考えたのです。さっそく試してみるのです。
情報分析が少しだけ、わかったような気するにゃ。
あの怪しい洋館に突入したにゃ。
エルファンは、はじめ何もできなかったけれど、シャンティさんが扉の建付けを調べてくれました。築百年を超えているそうですにゃ。
しばらくして、ねずみのしっぽを見つけました。
残念、本物ではなかったです。ただのコードですにゃ。
エルファンたちは敵と戦って、また探索を続けました。でも、何も出てこなかったにゃ。不思議な館ですにゃ。
『エルファン! 応答しなさい!』
『こちらの声が届いていないのでは』
『こちらエルフサービス。エルファン、そのまま待機しなさい』
『アーマーから既に活動データ無し……彼女は……』
『ちょっと、通信入っているじゃない。日記に入ったわよ』
『しまっ……マジっすか』
おっ。無事だったか! やっぱお前は凄い! 立派!
「にゃぅぅ……」
『あのー 先輩、先に日記を止めてくださいよ』
なにッ! ばかな、最初に切ったはずだ。さては謀ったな!
『だから、…』
えー、エルフサービスでございます。エルファンさま、ご無事でなによりです。本日ここまでの日記は誤って記録されたものです。お手数ですが削除ねがいます。それでは、失礼いたします。
「……にゃ! 桜餅を食べるまで諦めないにゃ!」
よくわからない理由を述べて、再び立ち上がりました。昨日まで起き上がれなかった彼女も、すっかり回復したようです。
しろ、ツヴァイ、シャンティ……みんな無事です。戦闘で破壊されたアーマーも、いつの間にか修復されていました。そして、またいつものように探索の旅が始ります。
エルファンは武器の手入れをはじめました。
猫耳族とは思えないほど器用な手つきで、ライフルの分解に取りかかります。1、2分で部品の山が出来上がりました。
部品ごとに汚れがないか確認して、一つ一つ確かめながらまた組み立ててゆきます。彼女は、ライフルの構造を熟知しているようでした。
「エルファンって、軍隊にいたことがあるの」
「にゃ、にゃっ?」
「ううん、気にしないで」
それでも彼女は少し迷ってから、答えました。
「キャンディが勝手に入りこんだから取りもどしたのです」
ライフルの形が少し歪になっていることには、あえて触れませんでした。
「いつみてもブキミな館ですにゃ」
少なくとも、安心して住めるような館には見えません。センサを確認した仲間の合図で、ゆっくりと館の内部へ進みます。
しばらくすると、やたら資料が散乱した部屋がありました。研究施設にしては荒れ具合が尋常ではありません。
エルファンは気なるものを見つけたようです。
「これ、しろさんの毛かにゃん?」
よくみると資料にまぎれて短い毛も散らばっています。
「違うみゃ。しろの毛は、もっと白いみゃ」
「…確かに色は微妙に違いますね」
「にゃぅ……」
残念ながら予想は外れでした。
館の主なら知っているのかもしれませんが、そのためには更に探索を進めなければなりません。一行が先に進もうとしたとき、背後で扉の閉まる音がします。
「勝手に閉めたのは誰にゃ〜」
「多分…敵みゃ☆」
一行に緊張が走ります。
敵の中心は――シャドウエルフ!
「この部屋を見たからには、生かしては帰さない」
「..........どう..かな。」
戦闘を仕掛けた!
探索を続けます。
探せば探すほど、フシギなものが見つかるにゃ。本当は何の施設なのかにゃ?
シャドウエルフさん、いつもこの建物で暮らしているのかにゃ?
気になって眠れないにゃー。
今日はちょっと外しすぎたのです。
ミサイルが全然当たりません。悲しいですにゃ。
……まだ慣れていないのかもしれないにゃ。
エルファンはこれでも素人なのです。はじめて見る武器ばかりで、おろおろですにゃ。
「本当にそうかな?」
にゃ?
エルファンはウソついていないにゃ!
いつものように探索して館を一周して帰ってきたにゃ。
「…………………………」
他に書くことあんまりないにゃー。
アーマーが壊れそうです。危ないのです。敵が強くなって来たのかにゃん。
「ところでコレどうやって直しているんだろうな。 メンテナンスは俺らだけど俺は担当じゃないし、よう知らん」
服が話しかけてきたのです。不幸ですにゃ。
「エルファンみたいに銃器の知識なんて余りないから…」
本当は、エルファンもあまりよく知らないのです。
ごろごろ〜 ごろごろ〜
エルファンは猫みたいに転がっています。どうしたというのでしょうか。
「”ごろごろ”ですにゃ」
これも技の一つだったのです。しかし、効果のほどは誰もわかりませんでした。ひょっとしたら単なる遊びなのかもしれません。
「猫神様にお見せするには、もっと修行が必要にゃ」
春の陽気はどこへやら。雲行きはあやしく、いまにも降り出しそうです。探索部隊は落雷を避けるように低空を飛び続けました。
郊外の施設に到着するとそこは真っ白な雪景色でした。大陸北部の春は、まだ遠い先のようです。
エルファンたちは何度も探索しましたが、いくつかの手掛かりは見つかるものの、未だ決定的な発見というものがありません。
一行は扉を開けると、躊躇わず入っていきます。
「くんくん……」
「ガスが充満しているわ。早めに切り上げましょう」
もう異臭は慣れたのか、どんどん先に進みます。
やがて、妙に天井の低い部屋に到達しました。魔法研究室なのでしょうか。何者かに破壊されたと思われるタンクのかけらが一面に散らばっています。
施設内部には空気が淀んでいるため、探索は短時間で終えなければなりません。敵に襲撃される危険もあり、警戒態勢の中、現場検証は困難を極めます。
「にゃ?」
エルファンは部屋の奥に何か見つけたようです。
液体を湛えた大型タンクでした。まだ破壊されていません。
「.....培養液?」
「エルファンの実家にも似たようなのあるにゃん」
「それって――」
何か言いかけた仲間の言葉が殺気に遮られます。狙い撃ちされたランプから光が失われ、暗闇が空間を支配しました。
非常灯がつくまでの一瞬のタイムラグ――
先に仕掛けたのはシャドウエルフでした。死角から振り下ろされたショートソードの一撃を、まともに食らいます。
「…ふにゃ!」
しかし、すぐに使用できる武器は限られています。複雑な武器は準備に時間を要します。
「あと10分だけ待つにゃん。ミサイルで木っ端みじんにゃ!」
シャドウエルフの眼が光ります。10分も待ってやる義理はありません。哀れなねこみみ……いや本当に哀れなのはシャドウエルフで、エルファンの言葉をまともに受け取ってしまったのです。
ミサイルは丁度10秒後に発射されました。
ごろごろしたら服がよごれたにゃ。考えてなかったにゃ。
”ごろごろ”はエルファンが昔おぼえた技のひとつですにゃ。でも本当に地面に転がるだけなので、お師匠様には「それ絶対技じゃないよ。何考えてるのよ!」と言われてしまったのです。悲しいです。
お師匠様は理解しようとしなかったにゃ。でも猫神様ならきっとご理解くださるにゃ。
また死にそうになりました。毒は怖いですにゃ。
エルファンが身につけているのはメンタルリングといって、毒を防いで……くれないにゃん。しまったにゃ。違うの買ってきてしまったにゃ。